船事故

再び沈没した観光船…なぜその場で引き揚げず浅瀬までえい航したのか?3つの理由を専門家が解説|TBS NEWS DIG

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5月24日、引き揚げ場所へえい航中に再び沈没した観光船。23日までに海面付近まで吊り上げることに成功していましたが一体なぜ、その場で引き揚げず浅瀬までえい航したのでしょうか。日本水難救済会の常務理事で、元第三管区海上保安本部長の遠山純司さんに詳しく聞きました。

■再び海底へ沈んだKAZU I

ホラン千秋キャスター:
24日に引き上げられる予定だった観光船「KAZU I(カズワン)」。浅瀬へえい航中に海底へ落下してしまいました。23日の写真には引き揚げ船の隣にうっすらとKAZU Iの船体が写っています。これが水面の上に出てくるはずだったんですが、午前中に落下して海上保安庁に連絡が入りました。その後、無人潜水機でカズワンを探したところ、海底で発見されました。

では、どこに沈んでいたのか。今までは水深120mほどのところに沈没していたんですが、今度はウトロ漁港から西に11キロほど、水深182mの海底に沈没したということです。海底へ落下したということですが、原型は留めていて、ひっくり返ったりはしていないということです。

引き上げ作業がどのように行われる予定だったのかといいますと、まずは引き上げ船に鉄骨がありまして、そこにロープを取り付けて船体を固定して、海面近く(水深10mから20mほど)まで吊り上げます。そして、そのまま安全に引き上げられる、もう少し浅いところまでえい航して引き上げるという予定だったんです。

では今後どうなっていくのか。もちろん、引き上げ作業も引き続き行われるわけなんですが、まだ行方がわかっていない方もいらっしゃいます。これまでに14人が発見されています。皆さん、身元と死亡が確認されているんですが、いまだに12人の行方がわかっていません。

これまで、KAZU Iの船内の捜索が行われていたんですが、飽和潜水で捜索を行ったところ、今のところは船内に不明者はいなかったということです。

他にも、国後島周辺で最近、動きがありました。6日、国後島の西岸で女性の遺体が見つかっています。また、19日までに同じ西岸で、新たに1人の遺体が見つかっていて、付近に「ソヤマアキラ」と書かれた運転免許証があったということです。こちらは甲板員の曽山さんとの関連を調査中なんですが、この2人が今回の事故に関係しているかどうかというのはまだ分かっていない状況です。

■なぜその場で引き揚げなかったのか?3つの理由

井上キャスター:
23日に現場で沈没船を引き上げました。ですが、その場で作業船に引き上げるのではなく、浅瀬までえい航していくというのはなぜなのでしょうか。

日本水難救済会 遠山純司常務理事:
基本的に理由は三つあります。一つは、やはり吊り上げて海中から海面に出す時に、すごく圧力がかかるんですね。従って引き揚げる船の新日丸の方をしっかり固定する必要があります。そして、深い海では錨を下ろせないので、錨が下ろせるような浅い海まで持ってきて、新日丸の船体をきちんと固定した上で引き上げたいという意図があったと思います。

もう一つは、やはり引き上げる前に、今回のような事故が起こらないようにしっかりと固縛状況を確認してから揚げる。その作業は、潮の流れがもう少し穏やかなところでやる必要があるので、浅瀬に持っていきたかったと思います。最後は、今回のような事態になってしまいましたが、水深が深い所で失敗して船体がずり落ちると、非常に引き揚げるのが大変なんですね。浅い所であれば、その再引き揚げが容易です。この三つのファクターを勘案して、浅い所に持って行きたかったと考えております。

井上キャスター:
そうすると、また最初から飽和潜水士の方々が特殊な調整を経て潜り、ワイヤーなどをくくりつけて引き上げるということになるんですか。

日本水難救済会 遠山純司常務理事:
飽和潜水士は現在、作業が終わって減圧をやっている最中なんですね。減圧の期間は通常1週間から10日ぐらいかかります。従って、一般的には同じチームをそんなに早くまた次の作業に使うというのは中々難しいのかなという気がします。そういった場合は、この船が持っている非常に高性能な水中カメラがアームも実装しているのでそれを使って引き上げ作業を行うことも可能ではないかと思います。

どういう形で再び引き上げ作業をやるかということを今、一生懸命に検討しているんじゃないかと思います。

■国交省は知床遊覧船の事業許可取り消しの方針

ホランキャスター:
今後ですが、知床遊覧船はこのまま事業を続けることが難しそうです。斉藤国交大臣は24日、「このまま事業を継続させることは再び重大な事故を起こす蓋然性が高いことから事業許可の取り消し処分が適当と判断」したと発表しました。来月14日に知床遊覧船から釈明を聞いた上で正式に処分を決定するということです。

この事故をめぐっては、特別監査で「実務経験がほとんどない社長を運行管理者に選任」「事故当日の気象・海象が一定の条件に達する状況であったにも関わらず運航中止の措置とらず」「船舶と通信が可能か十分な確認行わず」など19もの安全管理規…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20220524-6019724)

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