トラック事故

なぜ橋が一気に崩落? 米ボルティモア6人死亡か 類似事故は35件【スーパーJチャンネル】(2024年3月27日)

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 アメリカで橋が崩落した衝撃の事故。世界では過去にも同様の事故が起きていました。

■米ボルティモア 6人死亡か

 26日午前1時30分に貨物船が衝突し、橋は崩落。直前の映像には橋を渡っているトラックの姿も…。

 白い霧がたちこめるなか、夜が明けると事故の惨状が明らかに。橋はまるで刃物で切断されたように抜け落ち、貨物船の船首部分を橋の一部が覆い、道路は完全に水に沈んでいます。

 場所はアメリカ東部の港湾都市ボルティモア。橋の長さは約2.5キロメートル。貨物線が衝突後、中央部分がすっぽり抜け落ちたのです。

 沿岸警備隊は、川に落ちたとみられる6人は死亡したと推定し、救助活動を中止したと発表。

■貨物船衝突 なぜ橋が一気に崩落?

 衝突からわずか数秒間で橋は崩落。なぜ、橋は一気に落ちてしまったのでしょうか。

宮崎大学 工学部 森田千尋教授
「(今回の橋は)3径間連続のトラス橋。橋を支える橋脚が崩れると全体に影響を及ぼす」

 橋脚と橋脚の間に床版が1つしかない構造とは異なり、今回、崩落した橋は3つの橋脚と橋脚の間がつながっている3径間連続の橋。さらに強度を上げるため「トラス構造」と呼ばれるアーチ状の三角の骨組みでつないでいました。

 事故後の映像を見ると、三角の骨組み「トラス構造」の部分も川に沈んでいるのが確認できます。船が衝突した瞬間、橋脚が斜めに傾き、それと同時に橋は一気に崩れ落ちています。CG(コンピューター・グラフィックス)で再現すると、橋脚の支えを失った部分が最初に落下。トラス部分の重量の負荷が増え、衝突しなかった部分も崩落したのです。

 では、日本でも同じような事故は起こり得るのでしょうか。

宮崎大学 工学部 森田千尋教授
「橋を設計する場合には通常、走る車の衝突までは設計に含まれているが、船がぶつかるというのは想定もしていないので」

■“船衝突で橋が崩落”世界各地で

 船舶などの衝突による橋の崩落事故は世界中で起きています。先月にも中国・広東省でコンテナ船が橋脚に衝突。橋の中央部が崩れ落ち、ぶつかった船の上には大破した路線バスが。車両や電動バイクなど合わせて5台が崩落に巻き込まれました。

■類似事故は35件 橋脚保護に重点

 1960年から2015年までに似たような橋の崩落事故は世界で35件。うち18件がアメリカで起きています。

ジョンズ・ホプキンス大学 レイチェル・サングリー准教授
「多くの人が今、比較しているのは1980年にタンパで起きた橋の崩落だと思います」

 1980年5月、フロリダ州のタンパ湾で悪天候のためレーダーが利かなくなった大型貨物船が橋脚にぶつかり、橋が落下。多くの車が海に転落、35人が命を落としました。この事故を受け、多くの橋が橋脚の保護に重点を置いて作られるようになったといいます。

 しかし、この3年前、すでに完成していたのが今回、事故が起きた橋だったのです。

■貨物船が陥った“電源喪失”とは?

 そもそも、なぜ貨物船は橋にぶつかったのでしょうか。

 当局によりますと、衝突の直前、貨物船でトラブルが発生。電源を失って舵(かじ)が取れなくなったため、救難信号を出していたということです。

海事センター理事
「制限された海域での電源喪失ほど恐ろしいものはありません。もし船が推進力と舵を失えば、風や海流に運ばれて移動するしかありません」

 多くの船には万が一の事態に備えて緊急用の電源があるといいます。しかし…。

海事センター理事
「稼働できるのは通信と照明、消火設備などの電源だけ。(緊急電源に)主要な推進力を回復させる能力はないのです」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2024
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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