北海道八雲町の国道で、バスとトラックが正面衝突し5人が死亡した事故から1年。悲惨な事故は、なぜ起きてしまったのでしょうか。
事故現場となった八雲町野田生の国道5号には、多くの花が手向けられていました。
カメラマン:「バスとトラックが衝突して、バスの運転席が完全につぶれてなくなっています」。
1年前の6月18日、養豚場からブタを運んでいたトラックが対向車線にはみ出し、札幌発函館行きの高速バスと衝突。この事故で、双方の運転手とバスの乗客3人の合わせて5人が死亡しました。バスを運転していた興膳孝幸さんは、乗務員歴15年のベテランでした。
北都交通 佐藤晃彦取締役事業部長:「真正面から大きなトラックが来たら反射的に逃げてしまうところを、(興膳さんは)決して逃げなかった。逃げていたら、バスが2、3回転して、より大きな事故になっていたと思う。そういった意味では、興膳さんが会社を守ってくれたんだと思う」。
どうして、5人の命が奪われることになったのでしょうか。
【トラックの運転手の体調不良】
警察によると、死亡したトラック運転手の梶谷誠さんは、事故当日、勤務先である日本クリーンファームの関係者に体調不良を訴えていました。警察は、体調不良を知りながら運転手を交代させず事故を引き起こしたとして、今年3月、日本クリーンファームの安全運転管理者ら2人を業務上過失致死傷の疑いで書類送検しました。
事故から1年、日本クリーンファームがHTBの取材に応じました。
日本クリーンファーム 生産本部道南事業所・荒関邦彦事業所長:「事故に関して亡くなられた方が5人いらっしゃるので、ご冥福をお祈りしたい。従業員の健康管理が重要。検温やアルコールチェックなど従業員に異常がないか、対面点呼を含め確認した上で業務していただいている」。
十勝の音更町の運送会社。この事故で、従業員の健康管理に対する意識が変わったと話します。
京北運輸 渡部泰典常務取締役:「格段に、うちもそうですけど(健康管理の意識は)他の会社も変わったと思う」。
この会社では、ドライバーは運転する前に必ず体内のアルコールを調べる呼気検査と血圧検査を行い、安全運転管理者がチェックしています。
記者:「管理者にとって、従業員の体調管理はどのくらいの重要?」
渡部常務取締役:「荷物以上ですね。結局人の命なので」。
【事故危険区間】
5人が犠牲となった今回の事故。道開発局は、八雲町の国道5号を「事故危険区間」に指定していましたが、事故現場を含むおよそ6kmの区間は対策が取られていませんでした。
広瀬美羽記者:「こちらの道路の真ん中には、車が通ると振動して車線を越えたことが分かるような対策がとられています。しかし、この対策はここで終わっていて、この先で事故がありました」。
安全対策の1つ「ランブルストリップス」。道路に溝を作り、車線を越えると振動と音でドライバーに知らせてくれる仕組みです。現場周辺に整備されたのは、事故からおよそ1カ月後のことでした。
八雲町・岩村克詔町長:「これで十分ということはないと思います。開発局とも協議しながら、この道路の整備を要望していく。安全看板などを設置したり、皆さんに訴えていくというのは必要だろうと思っている」。
把握されていなかった「運転手の体調不良」と、対策されていなかった「事故危険区間」。我々はあの悲劇を忘れてはなりません。
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