交通事故が増える年末のこの時期。神奈川県警の覆面パトカーに密着取材しました。目立ったのは、重大な事故につながりかねない、高齢ドライバーによる交通違反でした。
■「証拠ある?」高齢ドライバー信号無視
師走の箱根路を走る1台の車。その正体は、神奈川県警の覆面パトカーです。
警察官:「完全に一時停止、見落としちゃってるなと思い、お声掛けさせて頂きました」
事故が増える年末年始のこの時期、重大事故を未然に防ぐため、警戒を強めています。
警察官:「バイクの運転手さん、70キロ道路ですよ。気を付けて下さい」
この日、「覆面」が見つけたのは、赤信号を無視して交差点を走り去る1台の車です。ドライバーは、高齢の男性でした。
警察官:「信号の違反でお止めしました。何色でした?信号の色」
高齢違反者:「入る瞬間は黄色だったでしょ?」
警察官:「停止線の手前から赤でした」
高齢違反者:「黄色だったでしょ?証拠あるの?」
カメラには、赤信号を越えていく男性の車がしっかりと捉えられていましたが、納得いかない高齢男性。
高齢違反者:「あれでブレーキ掛けたら急ブレーキで危ないよ」
警察官:「止まれる速度で走らないと、ちゃんと信号の色見て頂いて」
全国的に増加している高齢ドライバーによる事故。神奈川県でも、去年発生した事故のうち4割近くに高齢者が関係していて、大きな問題となっています。
高齢男性には、信号無視の違反2点、反則金9000円が科されることになりました。
■「速度違反何キロまで?」警察官の答えは…
神奈川県警第二交通機動隊。密着したのは、パトカーや覆面の運転歴10年以上、神奈川県警随一のベテラン・山口拓也巡査部長(38)と、大和優駿巡査長(31)のペアです。
パトロール中は、数秒ごとにミラーに目線を配り、四方を確認。異変がないか警戒しています。
この日も、パトロールをしていると、有料道路の追い越し車線を猛スピードで走り抜ける軽自動車の姿がありました。
スピード違反の取り締まりは、赤色灯をつけた状態で後ろに付いていき、車の速度を確認します。
覆面が停止を求めたのは、軽自動車を運転する若い女性です。
大和巡査長:「速度の違反でお止めしました。ここ何キロ道路か分かりますか?70キロ道路です」
道路の制限速度を大幅に超えたスピード違反です。
山口巡査部長:「しばらく付いていった所で測定して92キロ。今回、22キロ超過のスピード違反ですね」
子どものお迎え時間ギリギリで、急いでいたという女性。
違反者:「お迎えに行かなきゃいけない。午後3時までに行かなきゃ」
制限速度70キロの有料道路を、92キロの速さで走行。反則金1万5000円が科されることになりました。
違反者の女性には、どうしても聞きたいことがあったようで…。
違反者:「速度違反というか、プラス何キロまでいい?どのくらいで走ればいいんですか?」
山口巡査部長:「70キロっていったら70。確かに何キロまで大丈夫だとか、そういう話あると思うんですけど、基本的には…」
違反者:「70だったら、70」
山口巡査部長:「よく聞かれるんですけどね。何キロから切符切られるんですか?って」
車を運転する人なら、誰もが気になる取り締まりの基準。しかし、制限速度はドライバーや同乗者の命を守るために定められているため、順守してほしいといいます。
■「今ので罰金?」高齢ドライバー“あおり状態”
取材中、最も多かったのがスピード違反や信号無視。しかし、ついつい見落としがちで、危険な違反もありました。それが、車間距離の違反です。
山口巡査部長:「近いね、速度止めてくれる?5メートル。車間で止めるよ」
高齢違反者:「(速度は)出てなかった、80キロくらい」
大和巡査長:「速度はそんなに出ていないです。61キロくらい。ただ前の車との距離が結構近かったです」
高齢違反者:「それでも罰金くるの?今のでも?えー」
またしても高齢ドライバーによる違反。今回のように時速60キロで走る場合、45メートル以上の車間距離が適切と言われていますが、前を走っていたバイクとの距離は、わずか5メートルでした。
山口巡査部長:「前の車やバイクから物が落ちて急ブレーキ、急ハンドルを切ったとすると、今度は後ろの車がかわせなくなっちゃう」
事故に直結しかねない、あおり運転の状態。前を走るバイクも、たまらず車線変更しています。
高齢男性には、点数2点、反則金9000円が科せられました。
高齢違反者:「もう免許返そうかなと思ってる、もう年だから。それで車もきれいにしてさ、事故はしたくないからね。この年になって、けがしたくないし、自分だけならまだしも、他人に迷惑だけはかけられない。年金から9000円は痛い…」
事故が増える年末年始。覆面パトカーは日夜、警戒を続けています。
(「グッド!モーニング」2022年12月27日放送分より)