高速道路の工事エリアにスピードを落とさず突っ込んできたトラックが、作業車に衝突しました。こうした、高速道路の工事規制エリアでの事故が4年間で「2.5倍」に増加しています。
■工事エリア進入の事故、2.5倍に急増
NEXCO中日本が高速道路の工事現場の作業車に設置したカメラの映像です。「路側帯」に停車し、外には2人の作業員がいます。そして奥から、1台の大型トラックがやってきます。
すると、次の瞬間…猛スピードで突っ込んできたトラックが作業車に衝突。カメラの映像が一瞬固まり、その“衝撃の強さ”を物語ります。衝突で破片が辺りに飛び散り…あわや作業員が事故に巻き込まれる、危険な場面です。
別の高速道路では、作業車の電光掲示板に「作業中」と書かれた文字。すぐ近くには慌てる作業員の姿が。そして…猛スピードで走行してきた白い車が、作業車と衝突。作業員は急いでよけます。
NEXCO東日本が公開した映像。雨のなか、黄色い服を着た作業員が規制エリアで「誘導棒」を振っています。すると、走ってきたトラックがスピードを緩めず、真っすぐ突っ込み…間一髪でよけて難を逃れましたが、トラックはそのまま作業車に衝突し、あわや大惨事に。
高速道路の工事規制エリアに車が誤って進入する事故は、4年間でおよそ2.5倍に急増。過去には、高速道路上で作業員が巻き込まれ死亡する事故も起きています。
■作業員がはねられ…死亡事故も発生
高速道路の工事規制エリアでの事故は他にも…。
工事のため設置された“バリケード”に、トラックが突っ込む瞬間です。バリケードは大破し、重りのために入っていた水が激しく周囲に飛び散ります。
他にも、バリケードに衝突し、バランスを崩す白い車もいます。幸い横転はせず、そのまま走り去っていきました。
ものすごい衝撃音を響かせ、大型トラックが作業車に猛スピードで衝突。その手前には、通行を規制する「矢印板」が設置されています。見えなかったのでしょうか?
他にも、矢印板をはね、ギリギリでハンドルをきる車や矢印板を踏みつぶし、猛スピードで作業車のすぐ横を走行していくトラックも。
また、高速道路の工事規制エリアに車ごと突っ込み、作業車の下敷きになるような場面も。
夜になると…昼間よりも視界が悪く、危険の発見が遅れたり、スピードも出やすくなるため、事故も起こりやすくなります。
先月には、神奈川県厚木市の東名高速下りでレッカー作業をしていた作業員が大型トラックにはねられ、死亡する事故も起きています。
■実際に高速道路を観察すると…
昼夜を問わず起きる、高速道路の工事規制エリアでの危険な事故はなぜ増えているのでしょうか?
15日、番組が実際に高速道路を走ってみました。
電光掲示板に書かれた「作業中」の文字。高速道路の至る所でリニューアル工事が行われ、車線が減少しています。
工事規制エリアに差し掛かると、追い越し車線にいた車が立て続けにスピードを上げたまま車線変更。さらに左車線に抜け、走り去ります。
高速道路の工事規制エリア付近を、定点観察してみました。
追い越し車線の先に設置された矢印板によって幅が狭くなると、急いで真ん中へと車線変更、車と車の間に割り込みます。真ん中車線を走行していた車が、急ブレーキを掛けているのが分かります。
真ん中車線を走る、白い車。前を走る車との車間距離も狭く、追い越し車線に移動しますが…白い車は追い越してからすぐに車線が狭まっていることに気づいたのか、矢印板ギリギリの所で再び車線変更。割り込まれた車は急いでブレーキを掛け、接触を回避。一歩間違えれば事故にもつながりかねない危険な場面です。
少なくとも30分間で矢印板のギリギリ手前で車線を変えた車は「8台」。およそ4分に1回は起きていることになります。
■事故の原因は?運転支援機能の過信に注意
NEXCO中日本の担当者によると、事故の原因は、漫然運転や脇見運転、居眠り運転が9割を占めていると言いますが…。
NEXCO中日本 保全企画本部保全課
加藤嵩大係長
「老朽化が進む高速道路のリニューアルプロジェクトにおいて、長距離、長期間の車線規制等を伴う工事が年々増加しているところが要因かと」
「リニューアル工事」増加の他にも、新型コロナが落ち着いて外出が増え、長距離移動をする車が増えてきたことも要因の一つだといいます。さらに…。
加藤係長
「自動運転で走行されている車が、(工事エリアの)規制を感知することができない。そのまま運転を続けていると、規制材に接触するという危険があるということで考えている」
国土交通省が公開している「運転支援機能」を過信しないよう注意喚起した映像です。運転支援機能とは、前の車をセンサーで検知して車間距離を自動制御したり、車線から外れそうになると自動で軌道修正したりするなど運転者の負荷を軽減し、アシストする機能。
高速道路で車線を維持しながらの走行中に「障害物で白線が見えなくなったことを想定」した実験。車線を維持する機能は、どうなるのでしょうか。
運転支援機能は白線を検知できず、ドライバーがハンドル操作をしないと車線からはみ出してしまいます。路面上の白線は常に検知できるとは限らず、天候や路面状況によっては検知できないことも。
次に、「渋滞した高速道路での割り込みを想定」した実験。運転支援機能を搭載した車の間に外から車が割り込んできた場合…追従走行中に前方へ車が突然割り込んでくると、運転支援機能が割込み車両を検知してもドライバーがブレーキを操作しないと衝突を避けられません。
現在は多くの車に備わり、安全運転をサポートしてくれる便利な機能ですが、咄嗟の退避行動ができない恐れがあるため、頼りすぎは禁物です。
国土交通省が、全国の運転免許保有者1万人にアンケートをとったところ、運転支援機能の普及率は「24.1%」。およそ4台に1台が付いていることになります。
加藤係長
「運転支援機能を搭載した車両による事故は、2023年度は3件ほど確認されている状況です。NEXCO中日本で実施した試験の結果では、大型バルーンや大型の矢印板といった、現在も使用している規制材に対しての試験を行ったところ、衝突軽減ブレーキや警報などといった安全装置は反応しなかった」
「(Q.運転支援機能を過信した運転は危険性がある?)はい。高速道路ご利用のお客様は、(過信せず)運転に集中していただきたい」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年10月16日放送分より)
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