概要欄
常総線を運行する関東鉄道(土浦市)は18日、常総市水海道高野町の車両基地で、事故を想定した訓練を行った。毎年この時期に実施しており、警察なども含め約100人が参加。乗客の避難誘導や脱線時の復旧手順などを確認した。
訓練は、乗客15人を乗せた1両編成の列車が、踏切内に進入した乗用車とぶつかり脱線したとの想定で行われた。
避難誘導では今回、視覚障害者役の乗客を新たに1人加え、訓練を行った。障害がある乗客への安全対応を社員に積ませるのが狙いで、誘導員は非常用はしごの手すりの位置やステップの段数を丁寧に説明。警察官とも協力しながら安全に避難誘導させた。
事故の状況は現場に到着した社員がスマートフォンで動画撮影した。脱線した状況や破損した遮断機、枕木の様子などをリアルタイムで映像配信。広報担当者はプレスリリースの発表練習にも取り組んだ。
脱落した重さ150㌔の遮断機はクレーンを使って持ち上げ、もう一度配線し直した。破損した枕木については周囲の採石をスコップで避けてから、交換作業を行った。
脱線復旧では、油圧ジャッキを車体両側に据え付け、合図とともにジャッキアップを開始。水平バランスを確認しながら、重さ約30㌧の車体を10㌢ほど浮かせ、脱線して横にずれていた車輪をレールに戻した。
最後は、救援列車を呼び、連結して走らせるまでの流れを確認した。
訓練後、同社安全統括管理者の宮島宏幸常務は「当社で踏切事故は減少傾向にあるが、運転士から(事故一歩手前の)ヒヤリハットの報告は一定数ある」とした上で、「他社では大きな踏切事故が起きている。そうした事故なども例に、当社での対応策を各職場で話し合ってほしい」とさらなる向上を求めた。