北海道知床沖で消息を絶った観光船についてです。これまでに発見された10人全員、死亡が確認されていますが、乗客の家族や関係者が続々と現地入りしているものと思われます。
▽観光船の捜索続く・・・10人の死亡確認
(佐々木一真アナウンサー)
「乗客の関係者でしょうか。車が続々と入っていきます。ブルーシートに囲われながら中へ入っていきます。」
「知床岬先端の岩場に潜水士の姿が見えます。これから潜っての捜索が行われます」
北海道、知床半島の沖合で、乗客・乗員26人が乗った観光船が浸水し、その後、連絡を絶った事故。現場では行方不明者の捜索が行われました。
「非常に強い波が岸壁に打ち寄せています。やはり波強いですね。潜水士の方も時折、体が持っていかれる場面もあります。」
これまでに知床岬の先端付近で10人が救助されましたが、24日午後、男性7人女性3人、全員の死亡が確認されました。
「観光船に乗っていたものでしょうか。オレンジ色の浮きのような物が確認できます。」
地元の漁業関係者も船を出し捜索に参加。この海域は船の操縦も難しいといいます。
「知床半島沿岸、オホーツク海を臨むことができる場所です。海面からゴツゴツとした岩が出ている岩礁をいたるところで確認することができます。」
(地元漁港の漁師)「あそこは沖なので、急に風が吹いてきたりとか、すぐ波が出てきてっていうのはあると思いますね。地形でいえば遠浅ではないので、岩場なので座礁しやすいというか、滝に近づけば見誤るというか・・・」
当時、海は3mほどの波があり、強風と波浪注意報が出ていました。
全長およそ12m、重さ19トンの観光船に何が起こっていたのでしょうか?
▽“30度の傾斜”とは・・・専門家「脱出は困難」
番組は、観光船から午後2時ごろに出された報告内容に注目しました。
「船首が30度くらい傾いている・・・」
これを最後に連絡が途絶えたといいます。船の傾斜が30度という状況はどのような事態を招くのか?専門家は・・・
(水難学会 斎藤秀俊会長)「通常は30度傾いたらあとは沈むだけということになりますね。」
船はどのような状態だったのでしょうか?
2015年、中南米コスタリカ沖で観光船が沈没した事故はその一部始終が記録されていました。
全長30m、100人程の客を乗せた観光船、しかし、次の瞬間・・・
徐々に船体が傾き慌てる人々。そして・・・
船が傾き転覆するまでおよそ30秒。その原因は高さ2mの波だったといいます。船の構造や規模は違いますが、傾いた船が短時間で転覆する様子が分かります。この事故で100人余りは無事救出されましたが、3人が死亡しました。
(水難学会 斎藤秀俊会長)「どんな形の船でも30度傾くと脱出口から脱出するというのは困難だと思います。コスタリカの船の場合は横に傾いてますので、縦と横で沈没の仕方が異なるんですけれども、それでもやっぱり斜め上の方向に向かって逃げようとしてもなかなか皆さん逃げられない。」
▽過去にも事故・・・「修理しなかった」証言も
(佐々木一真アナウンサー)「時刻は午後5時です。こちらの建物の中で、国土交通省、北海道庁、さらには観光船の運営会社の社長が乗客の関係者に対して説明会を行っているということです。」
この船は、去年6月にもウトロ漁港近くで座礁。21人の乗客にけがは無く、会社と船長は業務上過失往来危険の疑いで書類送検されていました。さらに・・・
Q. 去年、座礁したとき、船首に亀裂が入っていたという話があったが?
(事故を起こした会社を知る男性)「ありました。」
Q. どのくらいの亀裂でしたか?
「俺が見たのはこれくらい(10~15cm)」
Q. 修理はしていない?
「してないですね。どうしてしなかったのか。ちゃんと直しておかないと。人を乗せる船だから。」
4月24日『サンデーステーション』より
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