北海道知床沖の観光船沈没事故です。
先ほど、沈没した「KAZU1」の新たな画像が公開されました。難航する捜索の手がかりとなるのでしょうか。
▽観光船「KAZU1」新たな画像公開
白い船体がわずかに傾いた状態で撮影されたKAZU1の船首部分・・・これは8日、無人潜水探査機「はくよう」が捉えたものです。船首部分の損傷は写真で確認する限りあまりないように見えます。さらに、船の船尾側、ドアは開かれた状態で2階デッキに上がる階段もはっきり確認することができます。
午後になり、きょうの捜索状況が発表されました。
(海上保安庁 奥康彦参事官)「今回はこうやって船首部分が大きく映るような、はっきりとした船の形が分かるような映像が撮れていることが見ていただける。カメラはあくまで今の状況を調査する形。今後、潜水士を入れていく予定なので、中の確認はやはりそちらが主体になると思う。」
今回、より鮮明な映像によって明らかになったこととは?専門家は・・・
(“ROV”に詳しい水難学会 安倍淳副会長)「ぶつかって岩に激突して壊れるということはなかったのかなと思います。」
今回の写真と事故前のKAZU1の写真を比較すると、損傷個所は見当たらず、ほぼ完全な形で沈没したことが分かります。
(“ROV”に詳しい水難学会 安倍淳副会長)「水中で120m沈む間に恐らく水の上に浮いている状態のままのポジションで沈んでいったのだと思います。」
▽8日投入の無人潜水機「はくよう」
(伊藤榮祐記者)「観光船が沈没したカシュニの滝近くでは、民間の作業船による船体調査が行われています」
事故から16日・・・KAZU1が沈没した現場海域で8日、無人潜水探査機「はくよう」を使い、海底およそ120mの深海に沈む観光船の捜索を行いました。
「無人潜水機が海の中へと入って行きました。青いクレーンからワイヤーが吊り下げられていて、海中へとゆっくりと沈んで行きました。水中カメラを搭載した無人機を遠隔操作してKAZU1の船体を調べています。」
「はくよう」は行方不明者の捜索とKAZU1の船内や船体の状況などあらゆる状況を調べるといいます。
(海上保安庁 奥康彦参事官)「損傷については海上保安庁で捜査という観点でも見ておりまして、(調査内容を)精査した中で捜査情報なので、今ここで示すことはできない。
▽[独自検証]無人潜水機“ROV”とは
水深およそ120mに横たわる「KAZU1」。
先日、ROVによって撮影された船内画像が公開されましたが、撮影後、ROVは船内で動けなくなり、回収不能になっていました。
ROVによる調査の難しさは、どんなところにあるのか?
番組では、これまで沈没船引き揚げにも携わってきた会社の協力で、ROVによる海底探査を行いました。
水深100mの潜水が可能なROVを載せ、目指すは、相模湾の海底30m地点。
「あっ、見えた!これですね。」
海底に横たわる巨大な構造物。ROVが水中に降ろされます。今回は、海の中でのROVの状態をみるため、カメラ付きの水中ドローンも投入。しかし・・・
「すごい流されてる」
「ダメ?(流れに)勝てない?」「早くて無理だね」
ROVは、映像やコントロール信号などを送るため、ケーブルでつながれています。こうしたケーブルは、流れの影響を受けやすく、制御不能になってしまうこともあるのです。
流れの緩やかな海域を探し、再びROVを投入。100m近い海底を目指します。
「じゃあ富樫さん、潜ろうか。」
潜行が始まりました。スクリューを切り替えながら向きを変え、降りていくROV。
次第に漆黒の闇に包まれ、搭載された照明だけが頼りです。そして・・・
「はい、着底した」「95m!」
海底に降りると同時に舞い上がる堆積物。こうした堆積物や水中の浮遊物は、視界を遮るばかりか、事故に繋がる可能性もあるといいます。
(“ROV”を運用する株式会社MMS 黒葛原正之代表)「暗いとかだけではなく、(水中に)不純物が多かったり1m以下の透明度だと何か構造物にぶつかってしまったり、何がそこにあるのか認識できないと意味をなさなくなってしまうので、なかなか機械(ROV)での捜査は難しいですね」
水中を縦横無尽に動き回り、条件によっては長時間、そして、克明に海底の様子を調査できるROV。
新たに「KAZU1」の調査に加わった高性能ROV「はくよう」には、大きな期待が込められていると言います。
(“ROV”に詳しい水難学会 安倍淳副会長)「沈没船の場所が潮の流れが速いということで、ロボット(ROV)がその場所に止まっていることがなかなかできなかったんですが、『はくよう』クラスになりますと、全部、船上で制御して、止まっていられる。今まで以上のことが分かってくる」
5月8日『サンデーステーション』より
※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp