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船の事故で命を落とさない方法はある?低体温防ぐ「救命いかだ」に注目 その機能、値段は?|TBS NEWS DIG

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北海道・知床沖で観光船が遭難した事故。事故当時、現場の海水が低温だったことから、冷たい海における、船の救難装備のあり方が問われています。

そんな中、注目されているのが体を水につけることなく、また低体温を防ぐ機能もある「救命いかだ」です。

事故を受け、気象や海域など地域の特性を踏まえたルールづくりを求める声も上がっています。

■「ライフジャケットは意味がないんじゃないかと」

知床で遭難した観光船KAZU Iは総トン数が20トン未満の「小型船舶」に相当し、海岸近くを走行する場合、膨張式の「救命いかだ」または「救命浮器(ふき)」の設置が、法律で義務付けられています。

では実際に、KAZU Iの装備はどうだったのでしょうか?同じ運航会社、知床遊覧船のもう一隻の観光船KAZU IIIの船長は。

国山ハセンキャスター
「救難の装備はしっかりありましたか?」
KAZU III船長
「もちろんです。検査で法定備品の検査がありますので。救命浮器といって、よくあるオレンジの四角いものを装備していました」

浮器とは、遭難者がつかまって救助を待つためのもので、KAZU IIIやKAZU Iの場合は、船の屋根部分に装備しているといいますが。

KAZU III船長
「テレビでもやっているが、ライフジャケットは意味がないんじゃないかと、冷たい海で。だから救命浮器も同じなんですよね。人が海面に浸かっているので」

事故当時、現場の海水温は2~3度。体が浸かった場合、15分から30分で意識不明となり、予想生存時間は30分から1時間半と言われています。

■マイナス30度でも機能 低体温防ぐ「救命いかだ」とは

体が水に浸からない救命装備として事故後、メーカーに問い合わせが増えているのが、「救命いかだ」です。救命機器メーカーのアール・エフ・ディー・ジャパンで見せてもらいました。

折りたたまれた状態のいかだを、専用のガスボンベで膨らませて使用します。この小型船舶用救命いかだの8人乗りのタイプは約40秒で膨らませることができるといいます。

山本恵里伽キャスター
「すごくしっかりしていますね。床もガスが入っているので、ふかふかしています」

床面に空気が入っていることで、水に体温が奪われることを防ぐしくみ。8人で使用した場合、カバーを完全にしめれば、中の温度は20度前後で保たれるといいます。

山本キャスター
「完全にカバーを閉めると、かなり密閉されている感じがあります」

山本キャスター
「具体的に波の高さや水温は、ここまでは耐えられるという上限はありますか?」
アール・エフ・ディー・ジャパン 担当者
「マイナス30度でも問題なく機能します。波の高さが3メートルで、風速が約30メートル、その中でも使用できるようになっています」

■普及進まない救命いかだ ネックとなるのは・・・

今回のような遭難事故でも、救命いかだがあれば、低体温を避けることができるのでは、と話す一方で救命いかだを搭載する小型船舶は少ないのが現状だといいます。

アール・エフ・ディー・ジャパン 担当者
「やはり船主に負担がかかるっていうところだと思う。救命浮器に比べて救命いかだは高価だし、毎年整備が必要になってくる」

救命いかだは、小型船舶用のタイプで約50万円。約10万円の浮器に比べて5倍~10倍の値段になる上、メンテナンス費用もかかるため、普及が進まないのだといいます。

ただ、国交省によれば、観光シーズンなどに合わせて、不定期で運航する観光船などの業者は全国で約560業者あり、地域ごとのルール作りを求める声もあがっています。

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