北海道の知床半島沖で起きた観光船の事故から5月5日で13日目になりますが、いまだ乗客12人の行方は分かっていません。今回、ゴールデンウィークということもあり営業再開の決断をした羅臼町の観光船業者に、今回の事故について同業者として何を感じたのか、話を聞きました。
朝日が海に反射する5月5日の午前8時前。知床半島の東側にある斜里町の隣町・羅臼町の港では、観光船の出港準備が始まっていました。
(知床ネイチャークルーズ・エバーグリーン 長谷川正人船長)
「レーダーでも船でも、まず航海計器の点検は私たちは必ずするから。いま現在の海の水温は3.87℃。もう夏だって寒いんだ、ここは北海道だから。沖縄の海とは全然違うからね」
「知床ネイチャークルーズ・エバーグリーン」船長の長谷川正人さんは、北海道の海で乗客の安全を守るため、日々厳しい基準で運航しているといいます。最も大切にしているのが“通信手段”です。
(知床ネイチャークルーズ・エバーグリーン 長谷川正人船長)
「普通の携帯電話がダメなら衛星電話。無線だって限界があるからね、やっぱり衛星電話は宇宙から(電波が)行くからね、割と死角なくつながってくれる。(Q衛星電話無しの出航はあり得ない?)あり得ないな、観光の場合はね」
今回の事故を受け、羅臼町のこの観光船も捜索のために一度は営業を中止していましたが、現在は万全の安全対策のもと再開しています。海の安全もしっかり確認し、5月5日の出航が決まりました。ゴールデンウィークということもあって観光客の姿が多く見られました。
羅臼町のクルージングでは、クジラやシャチなど北の海の動物たちに出会うことができるそうです。取材班もその船旅に同行させていただきました。出航してからも船長は周囲の観光船や漁船と無線でコミュニケーションをとり、安全確認を欠かしません。そして出発から30分ほどするとミンククジラと遭遇。オホーツク海を約2時間半かけてめぐり、クジラやシャチと遭遇することができました。
(観光客)
「東京からです。楽しいですね、リフレッシュになりましたし」
「すごいですね、ビックリしました。一生に1度は見たかったのでよかったです。最高です」
普段から安全を最優先して営業してきましたが、同じ知床で起きた今回の事故に船長はショックを受けたといいます。
(知床ネイチャークルーズ・エバーグリーン 長谷川正人船長)
「(この事故は)率直に人為的なミスだよ、これ。通信手段がなかったっていうのは我々ありえないこと。波もね、あの状態なら普通は全国の観光船は出航しないと思う。低気圧が発達する、漁船たちも戻ってきた、あとは事業者や船長たちがいろんな判断をしながらやらないと、お客さんの生命とかは守れない。他人事じゃないっていうのはみんなわかっているから、同業者だから他人事ではないの。明日は我が身だと思って」
ただ、それ以上にショックだったのは周囲からの声でした。
(知床ネイチャークルーズ・エバーグリーン 長谷川正人船長)
「誹謗中傷、これがすごかったらしい。お客さんも減っただろうし、キャンセルだってみんな来ているからね。今回はウトロの問題、知床の斜里側の問題ではなく、羅臼町と両町の問題になっているから。やっぱり困っている人たちも当然いると思う」
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