横須賀市追浜町で9月に発生した土砂崩落による列車脱線事故を受け、京浜急行電鉄は11月29日、土砂崩れを想定した復旧訓練を同市舟倉の京急ファインテック久里浜事業所で行った。当初の想定を練り直し、1カ月延期して実施した同訓練。事故の教訓を生かしつつ、乗客の避難誘導や負傷者の救出、土砂の搬出などを確実にこなした。
31回目となる今回の訓練は、京急やグループ各社のほか、浦賀署と市消防局から計約440人が参加。一般見学者を含む約400人が見守った。
平日の午前11時ごろ、京急線津久井浜-三浦海岸間で、上り快特電車(8両編成)が土砂崩落に巻き込まれて脱線。乗客計8人が重軽傷を負った-との想定で進めた。
乗務員が列車の状況を確認後、駅員らが現場に到着。非常脱出用はしごや取り外し可能な座席を使い、乗客役の京急社員約160人を事故車両から安全な場所へ避難誘導するとともに、消防の救急隊員らが負傷者を救助した。
このほか、先頭車両前方の土砂や樹木をショベルカーなどを使って撤去。車両の左右前方に設置した円筒状のジャッキを使いながら、脱線復旧作業を開始した。
脱線した車輪が壊れていることを想定、9月の事故発生時も使用した、車輪が動かない場合に走行を補助する搬送仮台車を取り付け、モーターカーで事故車両を運ぶ作業などを手際よくこなした。
脱線事故は9月25日午前0時ごろ、追浜-京急田浦間で発生。事故による重軽傷者は運転士を含む55人(重傷9人、軽傷46人)だった。
京急は、再発防止策として、現場周辺に鋼鉄製の防護柵や落石検知装置を12月下旬までに設置すると説明していたが、今月中に完了予定と発表。これに伴い、事故現場付近での徐行運転を12月1日から解除する。
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