北海道知床半島沖で26人を乗せた観光船が沈没した事故で、今回の捜査では危険の予測や回避が可能だったかや、社長の過失の有無などが最大の争点です。今後捜査はどう進んでいくのでしょうか?
石井 祐里枝 アナウンサー:「KAZU3(カズスリー)の家宅捜索でしょうか。海保の職員が続々と船に乗り込みました」
5月2日に続き、3日も知床遊覧船の関係先には、海上保安庁の家宅捜索が入りました。
捜査の最大の焦点は、出航判断の際に事故発生の可能性を予見できたかや、船長に加え出航を認めた社長にも過失があったかなどです。
今後の捜査はどう進んでいくのでしょうか。
海難事故の専門家は…
<事故を予測できたか…>
海難事故に詳しい 田川 俊一 弁護士:「乗客の死亡の結果について、船長は直接責任負うが、社長は間接的な責任なんです。『シケでもいいから出ろ』と言ったとしても、社長としてはそれで遭難して乗客が死ぬかもしれない、というのは認識してなかった」
水上 孝一郎 記者:「予見できていなかった?」
田川弁護士:「予見可能性ね、はい」
業務上過失致死罪では、危険性を事前に予測でき、必要な措置を講じていれば回避できたかの立証が重要です。
桂田社長は会見で…
知床遊覧船 桂田 精一 社長:「普通に海を見ても荒れてはいないし、天気予報を見ても問題ない。海が荒れるようであれば引き返す"条件付き運航"を豊田船長と打ち合わせて4月23日の出航を決めた」
<事故を防ぐことはできたか…>
一方、無線アンテナの故障など、会社と「KAZU1(カズワン)」の連絡体制の不備が指摘されていて、会社の安全管理体制も捜査のポイントです。
海難事故に詳しい 田川 俊一 弁護士:「安全管理義務違反したことと、乗客の死亡の間に因果関係があったかどうかは、ハードルが高い」
船長の行方が分からない中、事故原因の特定へ向けては、115m程の海底にある船体を引き揚げられるかが鍵となります。
悲惨な事故を二度と繰り返さないためにも、徹底した原因究明が求められます。
(KAZU1の「ワン」は正式にはローマ数字、KAZU3も同様)