1年前、地下駐車場にいた4人が、誤って作動した二酸化炭素の消火設備で酸欠となり死亡しました。事故は防げなかったのか。先週、東京都内で遺族が思いを語りました。
亡くなった上邨さんの妻 チャリトさん
「まだ信じられないんですけど。生きていると思ってたんですけどね」
亡くなった上邨さんの娘 マリアさん
「1年たってまだ結果がわからない。どうして死んでしまったのか早く知りたい」
去年4月、新宿区下落合のマンションの地下駐車場で、天井の張り替え作業中に、二酸化炭素の消火設備が作動し、下請けとして作業を行っていた上邨昌弘さんら4人の作業員が亡くなりました。
約30年前に内装会社を設立した上邨さんは、チャリトさんと結婚し、一家を支えてきました。
マリアさん
「家の中だと優しいし面白い。だけど、仕事になると超厳しい」
仕事への責任感が強かったという上邨さんは、2020年に名古屋市で起きた消火設備による事故のニュースを見て、次のように話していたといいます。
チャリトさん
「『ちゃんとチェックしないと。仕事の前に調べないと』とか言ってて」
しかし、4か月後にはその上邨さんが事故に巻き込まれ、帰らぬ人となりました。事故の翌日には、夫婦で食事に行く約束をしていたチャリトさん。心の整理がつかないままでいるといいます。
チャリトさん
「結婚記念日、2人の。本当は(4月)11日なんですけど、たまたま仕事が入って、『(4月16日に)どっかに飲みに行こうか、食べに行こうか』と」
「結婚指輪です、2人の。仕事が大変な時には傷にならないように、ここに置いていくんですよ」
――あの日ここに置かれていた?
チャリトさん
「はい」
「まだ(上邨さんが)いると思ってるんですけどね。必ず朝6時に起きて、玄関いつも見てるんですけどね。いつも玄関まで見送るから、まだ…」
警視庁は元請け会社などを家宅捜索し、元請け会社の現場責任者らが安全管理や設備の説明を十分に行わず、事故につながった可能性があるとみています。
上邨さんらが取り外した熱と煙の感知器を元に戻す際に、感知器が誤って反応し、消火設備が作動した可能性があることがわかりました。
一方で、元請けの現場責任者の男性は「起動ボタンを押さなければ、作動しないと思っていた」と話していて、遺族は真相解明を願っています。
マリアさんは、「もしものための対策はできなかったのかなって。こんな悲しい思いがずっと続くのは本当に苦しい。早く解決してほしいし、二度とこんな気持ちにさせないようにしてほしい」と胸の内を語りました。
(2022年4月15日放送「news every.」より)
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