5人もの犠牲者を生んだ今回の事故。
多くの人が利用する都市間高速バスが事故に巻き込まれたため衝撃が走っています。
現場周辺を取材すると事故の危険と隣り合わせの場所だったということが浮かび上がってきました。
5人もの命が犠牲となった事故から一夜明け、現場では多くの人が花を手向けました。
献花にきた人「自分の住んでいる身近でこんなに大きな事故。今でもまだ信じられない」
「バスとトラックが衝突してバスの運転席が完全につぶれてなくなっています」
18日正午前、八雲町野田生の国道5号で、高速バスとトラックが衝突。
双方の運転手とバスの乗客3人のあわせて5人が死亡しました。
警察などへの取材から発生当時の状況が見えてきました。
事故が起きた現場は見通しのよい国道です。
札幌から函館に向かっていた高速バス。
その反対車線を走っていたトラックがセンターラインをはみ出します。
高速バスはよけきれずに衝突。
バスの右前方にトラックが大きくめり込む形となりました。
バスの乗客が当時の状況を克明に語りました。
「一番後ろの一番左で一番安全なところにいたので軽傷だった。急ブレーキで止まったというよりはこれは事故ったのではという止まり方をして車内もパニックになって。バス自体はとても丁寧な運転だったので」
バス会社によりますと亡くなった3人の乗客はトラックが衝突した運転席の後ろの座席に座っていました。
高橋裕美さん札幌市内の英会話学校の講師として、同僚や生徒に慕われていました。
18日は道南に住む両親の元に向かっていたといいます。
近所の人は「会えばいつも明るく挨拶してくれて気さくな朗らかな方でした。英語が堪能な方で、外国人の友達もたくさんいらっしゃった」
若崎友哉さん。函館市の職員で、仕事でもプライベートでも後輩の面倒見が良い頼れる人物だったそうです。
函館市・総務部人事課葛西亘課長「信じられないという気持ちが大きい、部下や後輩からも慕われていて職場でも中心となる職員だった」
鹿部町に住む高清水忍さんは地元のリハビリセンターで給食を作る仕事をしていたといいます。
バスを運転していた興膳孝幸さん。
バス会社によりますと乗務歴は15年におよび、無事故表彰を受けるなど信頼のおけるドライバーだったそうです。
興膳さんの元同僚「興膳さんと聞いて「えっ」って。いつも安全運転しているなという感じはしました。絶対無茶な運転をするような人ではなかった、普段は優しけど、相談した内容によっては時には厳しくそういう先輩でした」
事故当日のトラックの動きも徐々に見えてきました。
運転していたのは養豚業者「日本クリーンファーム」に勤める梶谷誠さん。
梶谷さんは18日午前6時半、森町にある事務所に出勤。
周辺の養豚場でブタを載せ、八雲町の食肉加工場に運ぶ途中でした。
日本クリーンファーム吉原洋明社長「誠に申し訳ございませんでした」「3カ月の(勤務)状況をすぐに確認しましたが長時間労働とか過重労働に当たるような労働時間になっていなかった。勤務の状況も真面目に勤務していただく、従業員の方ですから、本人も健康も問題ないよということで」
直線が続く国道で起きた事故。
現場のすぐそばでは、こんな注意が呼びかけられていました。
須藤真之介記者「間もなく事故現場となります緩やかなカーブになっています左側には「スピード落とせ」の看板があります」
地元の人は、この辺りは「事故の多発地帯」だと話します。
「小さい時からここに住んでいるんですけれど本当に事故の多い現場」「よく起きるよ。
去年は信号機が倒されてそれから間もなく乗用車がうちの方に突っ込んだりとか」
20年ほど前にもこの現場近くで乗用車とダンプカーが正面衝突する事故が起きています。
この事故で乗用車に乗っていた家族4人が死亡しました。
乗用車が反対車線にはみ出したのが原因とみられています。
死亡したバスの運転手・興膳さんの元同僚もこの現場付近での運転は気を遣っていたといいます。
興膳さんの元同僚「道幅が狭くて、路肩もないような道なのであそこは特に注意してはみ出さないように運転していたところ」
現場では18日午後2時ごろから警察が、道路の状況やブレーキ痕などを確認しました。
警察は何らかの原因でトラックがセンターラインをはみだしたとみて過失運転致死傷の疑いを視野に調べを続けています。
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