交通事故をめぐる刑事裁判で無罪となったにもかかわらず、新たな運転免許の交付が認められていなかった福岡市の女性が10月16日、6年ぶりに免許証を手にしました。女性は「無罪になれば処分を取り消す仕組みをつくってほしい」と訴えています。
16日午後、福岡市の免許試験場で運転免許を受け取ったのは、福岡市に住む会社員の優子さん(45)です。
■優子さん(45)
「きょうから5年間ということで、自分の中では一区切りつきました。頑張りました。長かったです。」
優子さんは6年前、福岡市早良区で軽トラックを運転中に、原付バイクに衝突する事故を起こしました。福岡県公安委員会は「優子さんに過失がある」として、優子さんの運転免許を取り消し、検察は当時18歳だった少年にケガをさせたとして、優子さんを在宅起訴しました。
福岡地方裁判所は2020年の判決で、防犯カメラの映像や目撃者の証言から、バイクが急加速で割り込んできた可能性を認定しました。
優子さんに「過失は認められない」として無罪を言い渡し、その後、判決が確定しました。
優子さんが無罪判決を勝ち取ったにもかかわらず、福岡県は運転免許の取り消し処分を撤回しませんでした。
■優子さん
「免許証は身分証明書の代わりに使用したりする。簡単に証明できなくなる。免許がないだけで(就職面接で)何社か落とされたりもした。」
優子さんは免許を取り戻すために、福岡県を相手取って、免許の取り消し処分の無効を求める訴えを起こしました。
福岡県は裁判で、無罪判決と免許の取り消し処分は「別物だ」と主張しましたが、1審の福岡地方裁判所、2審の福岡高等裁判所ともに優子さんの訴えを認め、免許の取り消しは『無効』とする判決が出されました。
福岡県が最高裁判所への上告を断念して優子さんの勝訴が確定し、優子さんは10月16日、運転免許証を手にしました。
■優子さん
「やってきて良かったです。結果はついてきてくれたので。こんなに時間がかかったけど、もっと短くできたはず。」
免許が取り消しになり、人生が一変したという事故から6年が経った10月16日、福岡市の免許試験場で講習を受講したあと、免許が手渡されました。
優子さんが持っていたのは、事故の前に持っていたゴールド免許です。
■優子さん
「少しずつですけど自信取り戻して、車が主流になる生活を送れたら。一歩ずつ、復帰といいますか、できればいいなと。今までなかった分(財布が)閉まらない。」
さらに優子さんは「無罪であれば免許の取り消し処分を無効にする仕組みを社会でつくってほしい」と訴えています。
優子さんの訴えに対して、福岡県警は「事案ごとに適正に処分の判断をしていきたい」としています。
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