ソウル・梨泰院(イテウォン)の大惨事はひとごとではありません。人出が最も多くなる見通しの31日のハロウィーン当日を前に、東京・渋谷に集まった人たちからも懸念の声が聞かれました。
韓国・ソウルの梨泰院で起きた事故を受け、30日、仮装して街に訪れた人たちからは心配する声が。
街の人:「子どもがいるので、人の多い時は心配だから避けようと思う。昼の明るいうちにちょっと見て帰ろうねと」「一歩、間違えると大事故になるという認識は持っていたほうが良い」
アメリカ人観光客:「事故はとても悲しいこと。皆が飲酒していたら混乱状態が起こりやすいと思う」
ハロウィーンのイベントでにぎわう、ソウルの繁華街で153人が亡くなった大惨事は、なぜ起きたのでしょうか。
防災の専門家は「群衆雪崩」が起きた可能性を指摘します。
兵庫県立大学・室崎益輝名誉教授:「多くの人が高密度で集まると群集雪崩が起きるのは過去から知られていることなので、類似したことが起きたのでは。後ろの人が前の人を押し倒す、連鎖反応でバタバタと折り重なっていく」
人が密集した時になだれを打つように転倒する「群衆雪崩」。
日本では2001年、兵庫県明石市の花火大会で「群衆雪崩」とみられる事故が起きています。
午後8時45分ごろ、会場に向かう観客と帰路についた観客が歩道橋の上で押し合いになり、大規模な転倒事故が発生。死者11人のうち、9人が9歳以下の子どもでした。
当時、現場にいた人:「押されて子どもが、だんだん顔が消えていって埋もれていった。後ろを振り返ることもできない、横を向くこともできない。とにかく上を向いてあえぎながら、呼吸するしかなかった、2時間半」
当時、事故を調査した室崎名誉教授は「群衆雪崩」の原因について、こう分析。
兵庫県立大学・室崎益輝名誉教授:「まず超過密、考えられないような過密状態。あばら骨とあばら骨がぶつかり合って音が出るような、1平方メートルに15人ほどがいる状況。自分で立っているのではなく、お互いにもたれ合っている。たまたまエアポケットというか隙間が出た瞬間にその隙間に向かって雪崩を打つように人が折り重なる現象が起きた」
今回のソウルでの事故は狭い路地の坂道で起きています。
ハロウィーンで群衆が殺到する渋谷にも、似たような坂が。
渋谷「スペイン坂」は梨泰院の事故現場と同じくらいの道幅です。夜になると多くの人であふれかえるといいます。
「スペイン坂」近くのビル管理者・河合宏明さん:「ひとごとではない、渋谷でも十分起こり得る。歩道はかなり人があふれているので、なかなか迅速に動けない。絶対に31日は盛り上がるので心配」
例年、人出のピークはハロウィーン当日です。事故を防ぐための対策は。
兵庫県立大学・室崎益輝名誉教授:「過密にならないように、ある程度グループで分散する。間隔を空けて隙間を取っていくことがとても重要」
30日午後、警視庁警備部の幹部が警備の強化を指示したことが分かりました。
警視庁警備部の幹部:「裏路地の狭い道に人が殺到した時は特に誘導して、人をためない措置を取るように現場の各副隊長に指示をしました」
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