水難学会 斎藤 秀俊 会長が 網走港から中継で解説します。
HBCスタジオ 渕上 紘行 アナウンサー
陸揚げできないというのは何か理由があるんですか。
水難学会 斎藤 秀俊 会長
これから「水抜き作業」をやろうとしてるんですね。
その準備に合わせて、すぐには陸揚げしないということです。
渕上 アナウンサー
水抜き作業というのは時間がかかるものなんですか。
斎藤 会長
水を抜くのに、結構小さい穴から水を抜く、
あるいはポンプを使って水を抜くという作業なんですね。
ちょっと時間がかかるような作業になります。
渕上 アナウンサー
船は小型船ということですけれども、
それでもやはり水を抜くのには
期間が必要だということなんですか。
斎藤 会長
まず、大まかな水を抜くのと、
それから船は区画ごとにちょっと分かれているんですね。
その区画ごとでも、それぞれ水をしっかりと抜くというようなことで
結構念入りな作業が必要なんですね。
渕上 アナウンサー
水を抜いてしまえば、そのまますぐに
陸揚げができるということなんですね。
斎藤 会長
その通りです。
渕上 アナウンサー
つり上げ作業の流れなんですけども、
26日の午後3時につり上げを開始して、
27日の午後2時45分に網走港に着岸ということで
丸1日かかって、ようやく網走港に到着しましたが
斎藤さんは、ここまでの作業については
率直にどうお感じになりますか。
斎藤 会長
ここまで作業については、私も現地にいたんですけれども
本当に公表された時間通りにピタッと全て進んだように思います。
渕上 アナウンサー
昨日のこの時間、まさにつり上げる、
海面から姿を現すという状況をお伝えしましたけれども、
その時には数時間作業が遅れているという状況だと思いますが、
その後の夜通しの作業は、順調に進んだということなんですか。
斎藤 会長
その通りですね。実際に浅いところまで運んで、
KAZUⅠを台船の上にのせてで
こちらに向かったんですけれども、
ここはね本当にしっかりと夜通しの作業だったんですけれども、
しっかりとね、あの公表された時間にほぼそういうような形で
行われたというふうに思います。
渕上 アナウンサー
やはり海面から姿を現すという
26日のこの時間の状況が一番大変な作業、
慎重な作業だったということですね。
斎藤 会長
その通りですね、もうまさにKAZUⅠの船体が
海面から少しずつ出てくる様子というのは、
本当に慎重に慎重を重ねて行われた
作業の結果だというふうに思います。
波多野 裕太 アナウンサー
あらためて近くで船を見た感想、
船の状態をどのように ご覧になりますか。
斎藤 会長
率直なところ 船が小さいと思いました。
やはり小型船なんだなと。
この小型船で波の高さが3mの中を進むというのは、
相当大変だったというふうに思います。
船内の様子ですけれども 特に大きなへこみなどは
ブルーシートの上から見たとしても見当たりませんので
どちらかというと細かな損傷というのが
少しあるぐらいかなというふうに思います。
渕上 アナウンサー
これだけ深いところに沈んで、しかも長時間沈没していた状況で、
あまり壊れていない、損傷していないっていうのが
不思議に思うんですけどもいかがですか。
斎藤 会長
本当に「きれい」という言葉が出るということは
やはりどこも損傷してない、大きな損傷はしていない。
(船体の)「白」がくっきり出ていた。
海底に沈んでいれば 普通は泥とか砂で、
だいぶん着色してくるはずなんですけれども、
そういう着色もなく、本当にきれいな「白」の状態で、
引き上げられて まさに今、網走港にいると思います。
渕上 アナウンサー
船底に3つの穴が見つかっているという情報が
伝えられてますけども、そのあたりはいかがですか。
斎藤 会長
まだどのような種類の穴、大きさが分からないので
何とも言えませんけれども、
このような穴が開いてるという情報も、
確かに浸水の原因のひとつになりうるわけですので、
これから慎重に調査が行われるというふうに思います。
渕上 アナウンサー
これから船内で様々な調査が行われるということですけれども、
斎藤さんが見る調査のポイントというのはどういうところに
なるでしょうか?
斎藤 会長
まず機関室ですね。エンジンまわり、その辺りの損傷や
いわゆる浸水の原因になったようなものがあるかどうか。
それから船の船底ですね、船底の特にプロペラまわりですね。
プロペラのまわりに、何か損傷があるかどうかというようなところ、
このあたりを重点的に調査を行うではないかというふうに思います。
渕上 アナウンサー
プロペラまわりというのは、そこに異常があると
どういうことになるんですか?
斎藤 会長
プロペラは、エンジンとシャフトという棒で
つながっているんですね。
もしプロペラに損傷があると、シャフトにも損傷を与える。
例えば棒がね、ちょっと曲がっちゃったような状況になると、
今度は曲がったところを隙間として、
海水が、プロペラ側からエンジンの方にね、
しみ込んでくるんですね。
これも浸水のひとつの原因になりうるということで、
やはりプロペラまわりをしっかりと見ると思います。
渕上 アナウンサー
調査には どれぐらいの期間かかりそうですか。
斎藤 会長
船体の調査そのものは、例えば1週間から10日、
じっくり見るかと思いますけれども、
ただそこからが大変なんですね。
今度は状況証拠を全部積み重ねていって、
一体何が起こったのかというところまでいくと、
通常、普通の小型船の事故だと2年とか3年かかるんですね。
報告書が上がるまでで。
でもそういう時間軸を今回
どこまで短くしてやっていくかというところは
関係者が、かなり真剣にやってくるところだと思います。
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