現場にブレーキ痕は残っていませんでした。
20日朝、福岡県宇美町で軽乗用車が高校生らの列に突っ込み9人が搬送される大事故が起きました。
事故が起きたのは、午前8時15分ごろ。路線バスなどが行き交う糟屋郡宇美町の通学路でした。
突っ込んだのは、66歳の男が運転する軽乗用車。
車は20代の男性をはねた後、近くの宇美商業高校に通う女子高校生6人と男子高校生1人などを次々にはね、合わせて9人が搬送される大事故となりました。
このうち16歳の女子高校生が顔の骨を折るなど重傷です。
事故発生のおよそ2分前…。
数百メートル手前に設置された防犯カメラには、容疑者が運転していたとみられる車が捉えられていました。
画面左手から進む車は、ほかの車と同じような速度で走っています。
別のカメラには、さらに手前の信号で停車し、ほかの車と同じタイミングでゆっくりと進み始める様子も映っていました。
そしてこの映像が撮影されたおよそ2分後に、事故は起きたのです。
捜査関係者によると、事故現場となった数十メートル手前の交差点あたりから、車の走行に異変が出始め速度が上がるなどしたということです。
事故直後の防犯カメラの映像も。減速する様子もなく車が走り去った後には複数のはねられた人が横たわっています。
そして近くにいた人たちが慌てて駆け寄る姿も確認できます。
現場には、ブレーキの跡も残っていませんでした。
事故後の男の様子を目撃した人は、「音がして外に出たら車が塀にぶつかっていて塀が倒れていて、女子高生たちが何人か横たわっていたって感じ」
「タクシー会社の人が『出てこい』ということで、しばらくぶつかった後も出てこなかった」
「(男は)なんでこうなったのかなという感じでいてた。ちょっとふらつきながら足をけがしていたので」と当時の状況を語りました。
男は、須恵町に住む自称派遣社員の66歳で、アルコールに関しては検出されていないものの、持病を抱えていたかなど、詳しいことは分かっていません。
警察は、男を過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕しましたが、右すねの骨を折っていて手術が必要なことから、一旦釈放し、回復を待ってから事故に至った経緯を調べる方針です。