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「日本でも起きる」ソウル雑踏事故154人死亡 過密状態で起こる“群衆雪崩”実験解説(2022年10月31日)

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韓国・ソウルの梨泰院(イテウォン)で29日、雑踏事故が発生し、ハロウィンのにぎわいは、154人の死者が出る大惨事へとつながりました。

事故当時、あまりの混雑と騒音で、その場にいた人にも何が起きているのか全くわからない状況だったといいます。

2日経った31日、ハロウィン当日を迎えましたが、仮装した人は、ほとんどおらず、現場近くでは多くの人が献花に訪れていました。

友人と知人を亡くした人:「事故のことを後から知った。知人が亡くなったことも後から知った。友人がバーで働いている。2人で遺体を運ぶのを手伝った。どうか被害者と、この場にいた人を非難しないでほしい」

韓国政府は、来月5日までを国家哀悼期間とし、ソウル市内に複数の焼香所を設置。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領も、弔問に訪れました。

司会:「みんな一緒に黙とうを捧げましょう」

事故現場となった坂道は、坂の上側に『ワールドフードストリート』と呼ばれる通りが、東西に走っています。

この通りは、世界各国のレストランが並ぶ、若者に人気のデートスポットです。

そこから坂を下ると、大通りに出られ、すぐ側に地下鉄・梨泰院駅の出入り口があります。

事故が起きる約2時間半前、ワールドフードストリートを東から事故現場方面に向かう道は、ゆっくりですが、前に進める状態でした。

事故が起きる約2時間前、事故現場となった坂道は、まだすれ違うことができる状態でした。

しかし、時間が経つにつれ、人は増え続け、事故の約1時間前、ワールドフードストリートは、ほぼ身動きができない状態に。事故直前、現場となった坂道の上側も、あまりの人の多さに、群衆は塊となって、自分の意思では、どうしようもない状態に陥っていました。

幅3.2メートル、長さ約40メートルの坂道。その上半分では、多くの人が折り重なり、現場では、切羽詰まった声が響いていました。

現場にいた人:「意識がない人や、血を流す人もいた。ほとんどの人が、足が下敷きに」

横のビルからは、手を差し伸べる人がいましたが、助けられた人は、ほとんどいませんでした。

現場にいた人:「現場は30メートルほど先で、悲鳴と一緒に『人が死んでいる』と声が聞こえました。予想外のことで、冗談かと思いました」

地元メディアによりますと、救助に際し、ハロウィンが妨げになったといいます。

人が多すぎて、救急車が現場に近付けず、また、警察が、拡声器で道を開けるよう叫びましたが、警察官のコスプレだと思った人が多く、交通整理がうまくいかなかったという報道もあります。

近所の住民:「心臓マッサージの後に『死亡した』と言って、ある人がブルーシートをかけたんですが、『生きているようだ』となり、シートをはがして人工呼吸をしたら生き返りました。本当にうれしかった」

坂道の上にあるワールドフードストリートの店舗は、来月5日まで休業することを決めています。

死亡した人の大半が、20~30代の若者で、全体の約3分の2が女性だということです。

また、負傷者は149人で、うち33人が重傷だとしています。

亡くなった人のなかには、2人の日本人女性も含まれていました。

北海道出身の冨川芽生さん(26)。高校時代から、ずっと韓国が大好きで、今年6月に、ソウルで語学留学を始めたばかりでした。

亡くなった芽生さんの父親・冨川歩さん(60):「(警察が)『現場に娘のスマホが落ちていた』と。すぐにあちこち連絡取って、外務省に調べてもらえるように。ずっと待機していたんですけど、夕方になったら『写真を送ってくれ』と。『指紋が一致しました』と」

趣味は、カフェ巡り。手作りのアクセサリーを販売して、子ども向けボランティアの活動費にしていたといいます。

亡くなった芽生さんの父親・冨川歩さん:「フランス人の友達と出かけるというのが最後でした。明るくて、元気で、色んなことを一人で頑張ってやっていましたね。韓国大好きで行ったので、十分楽しんでました」

冨川歩さんは「早く会いたい」と言って、芽生さんを迎えに韓国へと向かいました。

亡くなったもう1人の日本人は、埼玉に住む小槌杏さん(18)だったことが分かりました。

ソウルの建国(コングク)大学によりますと、今年から語学留学をしていたといいます。

小槌杏さんの祖父:「本当に突然のことで、言葉もない。かわいい子だったので、胸が張り裂けそう。(8月に)送り出した時『頑張ってね』と繰り返して、まさかこんなことになるなんて思ってもみなかった」

***

スタジオでは、人が密集した現場を再現しました。

渡辺瑠海アナウンサー:「傾斜はそこまでではありませんが、これだけ多くの人に囲まれていると、圧迫感が強いという印象です。私の身長は156センチですが、これだけ高身長の人に囲まれると、周囲の様子を見ることができず、後ろを振り返るのも難しいです。足もとを見ようとしても見ることができない状態になっています。前の人が倒れてしまったり、後ろから人が倒れてきてしまうと、自分もバランスを保てなくなる恐怖を感じます」

◆危機管理に詳しい日本大学危機管理学部・福田充教授

(Q.今回の事故を率直にどう思いましたか?)

非常に痛ましい大変な事故で、日本でもいつどこで起きてもおかしくない事故だと思います。

韓国では、ハロウィンのイベントでこうした事故が起こり得るというリスク認知が十分ではなく、事前に事故を想定できなかったことが原因の一つではないかと思います。

(Q.事故の引き金は何が考えられますか?)

まず、異常な過密空間ができてしまったことがポイントだと思います。

その中で群衆が歩いている状態で、足元が見えない場合、誰かが転んだのかもしれません。

転んだ1人目に気付かず、後ろの人がそのままつまづいて転び、さらに後ろの人が転んでしまい“逆ドミノ”のように後ろに倒れる人が広がってしまった可能性が考えられます。

他にも、全く前に進めない状況で、人が動いてなくても、異常な過密状態になると“群衆雪崩”が起きる可能性もあります。

例えば満員電車でも、超満員の場合は、自分の力で立っていられなず、体が他の人に挟まれて何とかバランスを保っている、お互いにもたれ合っている状態になることがあります。

ここで何かのバランスが崩れることで、群衆雪崩が発生することがあります。

(Q.現場では双方向の人の流れがあったとみられます。これが事故の原因と考えられますか?)

上りの場合は歩くスピード遅くなり、下りは逆に速くなります。

上りで滞留した人たちと、下りてくる人たちがうまく交差できなくなって、坂の途中でぶつかり合い、強い圧力が発生して、群衆雪崩が起きた可能性も考えられます。

(Q.当局にはもっと素早い対応が求められたと思いますが、いかがですか?)

本来、予定されたコンサートやスポーツイベントでは、事前準備や計画ができますが、今回のような自然発生する群衆には難しいです。

ハロウィンだったらこういうことが起こり得るという想定が大事だったと思います。

自治体や警察が警備する際に、事前に注意喚起して、リスクを知らせることが大切です。

また、警備で一方通行の道を増やすことで、人の流れを良くする、分散させることによって、群衆雪崩や過密状態を避けることが、事故を回避する危機管理では重要になります。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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